STAP細胞とMUSE細胞

小保方博士の「体内に生得的に存在する多能性幹細胞」論文はMUSE細胞の論文が投稿される直前に投稿されましたが、採用されませんでした。

日本の国家予算が集中する、再生医療分野での人脈

現在、大和雅之博士は、NEDOのMUSE細胞プロジェクトリーダー代行をおつとめです。再生医療学会の著名な研究者と親しい人間関係を築かれていたご様子です。

「STAP細胞」について研究を進めていたメンバー。左から小保方晴子さん、小島宏司米ハーバード大准教授、大和雅之東京女子医大教授、チャールズ・バカンティ米ハーバード大教授=2009年4月、米マサチューセッツ州ボストンで(小島准教授提供)
小島准教授によると、写真は論文を書き始めた時期に当たる。「STAP細胞」の原形となる論文が完成したのは、撮影から4カ月後の09年8月。ところが10年春、論文は米科学誌に採用されなかった。「ほぼアクセプト(採用)とのコメントをもらってみんなで喜んだが、1、2週間後に却下の返事が来て声を失った。その後の2〜3年は彼女は本当につらかっただろう」 STAP細胞:くじけなかった小保方さん 研究に壁で涙も 毎日新聞 2014年02月01日 15時00分

STAP細胞とMUSE細胞-オリジナリティの行方

体内にある天然幹細胞というアイデアを持っていた小保方博士がいつどういう経緯で刺激惹起性多能性幹細胞へのお考えを変化させたのかが気になるとともに、MUSE細胞論文の提出日と非常に近い点が気になります。

若山博士によると、2010年に小保方研究ユニットリーダーが訪ねてきた当時、小保方研究ユニットリーダーの発想は、バカンティ教授の仮説の通り、マウスの体細胞に混在する未分化な細胞を取りだすというものだったという。
「STAP細胞とは何か?」赤谷拓和著 Newton 2014年4月号pp.13

重要なエピソードなので、記事をまるごと引用します。

独創の系譜:海越え連携、STAP細胞 常識覆した日米トップ研究者

 体細胞に刺激を与えるだけで、あらゆる細胞に変化する万能細胞「STAP(スタップ)細胞」(刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得細胞)を作製することに、日米の共同チームが成功した。細胞生物学の常識を覆すこの成果は、日米のトップ研究者らの連携で生まれた。

●「iPS」発表の頃、成果の芽  山中伸弥・京都大教授(51)がマウスiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製を発表したのは2006年8月。その頃、米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授(63)の研究室では、STAP細胞作製へとつながる研究が始まっていた。

 バカンティ教授らが01年に発表した1本の論文がある。「生体内には強い刺激に耐え、組織の再生に寄与 する小さな細胞が存在する」と主張する内容で、ほとんど注目されなかったが、バカンティ教授は、この細胞があらゆる細胞に変化できる「多能性」を持つと信 じ、研究を続けていた。

 成果が乏しい中、バカンティ研究室の小島宏司准教授は、この細胞を効率良く分離する方法を開発。06年には肺細胞から分離した小さな細胞が、多能性を持つ胚性幹細胞(ES細胞)と同様、ボール状の塊を作ることにも気付いていた。  08年春。早稲田大大学院の博士課程に進学した小保方(おぼかた)晴子さん(30)=現・理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター研究ユニットリーダー=は、発足したばかりの早大と東京女子医大の連携研究教育施設で研究を始めた。再生医療を学ぼうと師 事した指導教官の大和雅之・東京女子医大教授(49)の紹介で同年9月、バカンティ教授の研究室に留学。これが大きな転機となった。

 内径0・05ミリという極細のガラス管にマウスのさまざまな細胞の塊を通し、バカンティ教授の言う「小さな細胞」を分離する実験に取り組んだ小保方さんは、採れた細胞内で、多能性細胞特有の遺伝子が活性化していることを見つけた。

 ●マウスで証明、確信へ近づく  だが、多能性を完全に証明するには、受精卵にその細胞を注入してマウスの子宮に入れ、注入した細胞由来 の細胞が全身に散らばった「キメラマウス」を作る必要があった。「世界で一番上手な人に頼んで、駄目だったらあきらめよう」。10年夏、小保方さんと小島 さん、大和さんは、当時理研にいた若山照彦・山梨大教授(46)の研究室を訪ねた。若山さんは世界で初めてクローンマウスを作製したことで知られる。ハー バード大の研究者に依頼して断られたと聞き、若山さんの血が騒いだ。「面白い。やってみましょう」。狙い通りの成果が出た時のことを、若山さんは「一番 びっくりしたのは僕。正直言って信じていなかったから」と打ち明ける。

 一方で小保方さんらは、この多能性細胞は細胞の塊から分離されたものではなく、「細い管を通す」という 刺激で細胞が初期化されて新たに生まれたのだと確信しつつあった。大和さんも、送られてきたデータを見て同じ結論に至った。10年12月、米フロリダ州で 開かれた学会でチームメンバーが一堂に会した。「新たに細胞が作られたんじゃないか」。大和さんとバカンティ教授の意見が一致した。

 方向は定まった。小保方さんは細胞にさまざまな刺激を与えて、弱酸性の溶液に浸す方法が最も効果的であることを突き止めた。「STAP」と命名された多能性細胞は、ES細胞やiPS細胞では不可能だった胎盤の細胞にも変化した。  しかし、あまりに革新的なため、論文発表は困難を極めた。チームは理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹・副センター長(51)らの助言を受け、説得力を増すためのデータを追加していった。

 STAP細胞にはiPS細胞のように無限に増える能力はないが、同センターの丹羽仁史プロジェクトリー ダー(49)らが開発した特殊な培養液で培養することで、高い増殖性を併せ持つ細胞に変化させることができた。こうして積み重ねた成果は英科学誌ネイ チャーの2本の論文に結実した。

 ●仕組みの解明、今後の焦点に  STAP細胞の作製は、核移植や遺伝子導入など複雑な人為操作が不要なうえ、作製効率も極めて高い。その仕組みは不明だが、笹井さんは「iPS細胞と異なり、細胞内にもともと備わっている仕組みによって自発的に初期化したのだろう」と話す。  大和さんは、細胞質に謎を解く鍵があるとみている。「細胞質の中に初期化を妨げる物質があり、それが刺 激によって取り除かれた後、細胞膜をうまく修復できた細胞がSTAP細胞になるのではないか」。ヒトなどでのSTAP細胞作製と並び、今後の焦点はこの不 思議な仕組みの解明に移る。

【須田桃子、八田浩輔、斎藤広子】毎日新聞 2014年02月06日 東京朝刊

◇STAP細胞作製までの経緯
2001年 チャールズ・バカンティ米ハーバード大教授が「生体内には刺激に耐え、組織の再生に寄与する小さな細胞が存在する」と主張する論文を発表
08〜09年 早稲田大大学院生(当時)の小保方晴子さんがバカンティ教授の研究室に留学
10年夏   キメラマウス作製のため、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの若山照彦チームリーダー(当時)との共同研究開始
11〜13年 小保方さんが同センターの客員研究員として若山研で研究
13年3月  小保方さんが同センターの研究ユニットリーダーに着任
14年1月  小保方さん、バカンティ教授ら日米共同研究チームが英科学誌ネイチャーでSTAP細胞作製を発表

独創の系譜:海越え連携、STAP細胞 常識覆した日米トップ研究者 【須田桃子、八田浩輔、斎藤広子】毎日新聞 2014年02月06日 東京朝刊を'as time goes by' net Hiroより孫引き