STAP細胞、遺伝子の謎

STAP細胞、遺伝子の謎 7月22日に訂正された解析

偉大な業績を数多く残した科学者の方のご逝去という筆舌に尽くしがたい残酷な結果を残したSTAP細胞事件。心臓が痛くなるような悲しい数ヶ月から、悲嘆に暮れるばかりの毎日へと変わりました。

STAP細胞が科学という認識ツールによって在ると確認されるかされないかは私たちの願望や希望とは独立した問題なので、淡々と確認し、事実を明確にできれば良いなと感じています。

2014年7月22日、論文筆頭著者が何か混ぜたのでは?説の根拠となっていた遺伝子解析結果が訂正され、若山研究室にいないマウス→いたマウスの子供かもしれないへ変更となりました。理研資料 | 若山博士資料
STAP幹細胞FLS-3と4:129B6F1:CAG-GFP(15番hemi)Acr-GFP(15番hemi),♂
若山研究室に居たB6のAcr-GFP/CAG-GFP岡部研由来マウスとの遺伝子挿入位置の一致に関しては未確認

若山博士は129マウス(Chr18-GFP)のねずみを数代バッククロスして作ったので、どうもところどころB6マウスの遺伝子が残ってしまっているようです。それが解析結果に影響を与えているのかもしれません。

8トリソミーは産まれない?

また、8月27日の丹羽博士の会見時の質問で気がついたのですが、STAP細胞は保存ができないそうなので、2013年3月10日のNature投稿以降に査読者から要請されたmRNA解析データ採取の際にSTAP細胞は再度作製されたようなのですが、遠藤高帆博士の解析によりこの細胞の8番染色体にトリソミーがあったのでES細胞が正体であろうと言われたのですが、そもそもこの時には既にキメラマウス実験は不必要なためES細胞を使用する理由はほとんどなかったものと思われます(もしトリックを使用するとすればSTAP幹細胞のデータ解析には必要であったかもしれない。)。どちらにしてもトリソミーだったかどうかは第三者機関の解析がもう1つは必要ですし、 人間や三毛猫の雄のようにモザイクトリソミー転座等他の染色体異常ですら出生できないと言えるのかどうかの確認は、遠藤博士が投稿している論文が査読を経て公開されるまでは、私にはよくわからないです。(追記:遠藤高帆博士のSTAP細胞解析論文で考察しました)

STAP細胞騒動

科学者社会は当初から、早急に論文筆頭著者の研究員を解雇すべしと口々に述べていました。
しかし彼女とこの研究には少し特殊な事情がありました。

  1. 大学学部~大学院にて基本的な論文の書き方等の教育を受けていない、信じがたい学校側の職務放棄とも言える様子が博士論文からうかがえたため情状酌量の余地があった。(博士論文には第3者によるすり替え容疑の可能性すらあると思います。)
  2. あまりにも研究結果が重大で、かつ、キメラマウスという多能性の最上級の証明は世界的に著名な研究者が製造していた。
  3. トリックでは説明できない。
  4. 彼女しか作製できない個人手技の要素が存在している可能性。

などから、理化学研究所CDBは2014年4月はじめからできれば小保方氏が参加する再現実験を行いたいという希望を会見で述べていました。特許の事情もあったと推測できます。

しかし、報道はますますエスカレート。

早稲田大学の博士論文の件では、彼女へ教育をほとんどしていなかっただけではなく、研究室ぐるみでコピー&ペーストをなあなあで良しとしていた事情や、教授達が理解できない分野であるのに学生を手放さないまま学位論文審査を適当にやりすごした事情等(日本ではノーマル)大学側の教育放棄的状態があったのですが、教員達が攻められることはほとんどありませんでした。(ここは大変驚きました。)

下書きが残っていたという調査委の結果は嘘だ、彼女の学位を取り上げろと猛烈な攻撃が大学教員達から殺到、あまりの攻撃性にネット上の市民側が制止をかけるとその市民を「科学がわからぬ不調法者」と揶揄する大混乱常態になってしまいました。

6月12日の理研自己点検委員会や理研改革委のたった1論文不正に対する「CDB解体」「笹井博士と竹市センター長と西川さんの退任推奨」という報道は非常に大きな衝撃を受けました。(海外の専門家の反応 "Scientists rally around beleaguered Japanese research centre"2014/7/1,Nature)

6月16日の若山博士の会見、7月2日の撤回とツイッター上でのiPS治験担当者のご発言による炎上、色々な事件がつらなっていきます。日本分子生物学会からはネッシー呼ばわりをされ、7月25日には日本学術会議の非専門家達より苦言。7月27日にはあの悪質なNHKスペシャルの報道がありました。

日本学術会議の苦言へ理化学研究所が返信した翌日8月5日、笹井芳樹博士は還らぬ人となりました。あまりにも大きな損失に、ただただ呆然とする毎日です。悲しみはなかなか途切れることはありません。心からご冥福をお祈り申し上げております。

出る杭は叩く日本では目立ちかつ失敗すると、いつのも袋叩きが始まり今回の様に命さえ奪われます。国内で脚を引っ張り合うだけで衰弱していく、溺れゆくミズスマシのような日本。虚しさしかありません。あらゆる努力も、リスクテイクも、全て無意味、全ては虚無です。

笹井氏の妻と兄宛ての遺書に「マスコミなどからの不当なバッシング、理研やラボ(研究室)への責任から疲れ切ってしまった」との内容が書かれていたことを明らかにした。…中村弁護士は、遺族から聞き取った状況を踏まえ「笹井氏は論文への疑惑が指摘された3月ごろから心労や重圧を感じ、6月の理研改革委員会による(再生研の)解体提言で相当強いショックを受けた」との見方を示した。
「不当なバッシング疲れた」 理研・笹井氏が家族宛て遺書 2014/08/12神戸新聞
代理人を務める中村和洋弁護士が発表した笹井氏遺族のコメント全文は次の通り。  
このたびは、STAP論文問題および笹井芳樹の突然の死去に関しまして、皆さまには多大なるご迷惑と混乱を引き起こしましたことを深くおわび申し上げます。
 1週間たった今も、私どもは心が混乱し、あまりに突然の出来事を受け入れることができないでおります。深い悲しみとショックで押しつぶされそうです。この半年があまりに長く、私どもも疲れ切っております。今は絶望しか見えません。
 理研(理化学研究所)およびCDB(発生・再生科学総合研究センター)の職員・研究者の皆さまには、このようなことになり、おわびのしようもございません。皆さまの動揺を思うと、胸がつぶれるほどつらいです。今は一日も早く、皆さまに研究・業務に専念できる環境が戻ることを切に願うばかりです。
 理研の先生方、職員の皆さまにはお一人お一人お会いしておわびの気持ちをお伝えしたいのですが、どうぞご無礼をお許しください。  このたびのことで、私どもも大変傷つき苦しんでいます。報道機関の皆さまには、私どもの心情をどうかご理解いただき、またプライバシーにもご配慮いただき、これ以上の取材などは控えてくださいますよう、どうかお願いいたします。
笹井氏遺族のコメント全文 2014/08/12神戸新聞